歌詞を書いて「ありがとう」なんて言われるなんて。 言葉なんて誰でも扱えるのに。 特殊な能力や技術じゃないからこそ。 だからこそプライド持ってやってるのかな。 なんて思います。 これは歌詞の説明ではありません。 これは歌詞の解説ではありません。 今までの歌詞はあれ以上でも以下でもありません。 ここにあるのは自分で書いた歌詞の行間と字余り。
『moonwalk for a week』
moonwalk
月面歩行。地球の約六分の一の重力である月面で行う、浮遊したような歩き方
「血を取り戻せ」なんてケンシロウみたいなツアータイトルを掲げた彼らは、関東の数本のツアーに僕らを呼んでくれた。
大阪以外でそんなにライブしたことのない僕らは遠足の前の日のような日々を過ごした。
あの頃の僕らの居場所はアメリカ村の新神楽。
ここには先輩後輩いろんなバンドがいたがアホばっかりだった。
その中でもconstruction nineという先輩バンドは誰からも愛され尊敬され、そのライブは圧倒的であった。
僕らも彼らを愛し尊敬した後輩バンドの中の一つだ。
ツアーというものを何もわかっていない僕らに彼らは一つ一つ教えてくれた。
地方でのライブハウスでのマナー。
宿泊させてもらう友だちへのアポ。
ご当地グルメ。
他にもいっぱい。
何もわかっていない僕らにレンタカーの手配もしてくれた。
車は二台。
セレナとホーミー。
大阪のアメリカ村新神楽で僕らはある程度お客さんも集まり始める。
それなりにいいライブをして調子に乗っている僕らは生ぬるい環境にいたのかもしれない。
それを見越してか、もしくは何も考えていないか、はたまた彼ら自身も同じ環境だったからなのか。
僕らをツアーに呼んでくれた。
ツアータイトルは「GET BACK MY BLOOD TOUR」
あの頃の熱い血を取り戻せと僕らに言っているのか。
彼ら自身に言い聞かせているのか。
東京では泊まらせてくれる知り合いの家ではさすがに九人全員寝ることはできず半分の人数は車中泊に。
炊飯器を持ち回り電気を借り米を炊く。
可哀想なツアー生活だと思われるかもしれないが、僕らはとても楽しかった。
セレナで眠る夜。
あれは確か高円寺。
初めて生で見る真夜中の純情商店街。
僕らはバンドをやっているんだ。
大阪のみんなは元気かな。
ツアーを経たバンドは大きく成長するらしい。
出音が。
ライブが。
自分たちでは自覚はない変化があったらしい。
周りのみんながそう言ってくれる。
でもなんだか不思議な気持ちだ。
ずっとあの大きなツアーに「君たちは変われたのかな?」
と、問われている気持ちだ。
確かに一回やったくらいでは変われたなんてほざくつもりはなかった。
でも僕らが東京でいいライブをしたことは揺るがない事実だった。
それが自信になったのも事実だった。
いろんな事がありすぎてそれぞれの思い出を聞いてもバラバラの解答が得られるだろう。
ほとんど笑って、最後下北で少し泣いた。
それ以外は他の8人に聞いてほしい。
そんなあの一週間のすべてが僕の初体験だった。
まだ僕らは未来へと生き急いでいる。
『moonwalk for a week』
月から戻ってきた彼らは宇宙で血を抜かれたようだ
生ぬるい環境で僕らの熱い熱い血は蒸発したようだよこの場所から未来へ生き急げ
この旅を言葉にしても安っぽくなりそうで
9通りの思い出として留めておこうあの女の子は夏休みを境に大人になり
君達は変われたのかな?
って一回やったくらいでほざく車内の温度も トンネルの闇も 下北の涙も
あの時の全てのことが僕のバージンこの旅を言葉にしても安っぽくなりそうで
9通りの思い出として留めておこう運んでくれセレナ
包んでくれホーミー
敗者の旅はまだ終わらない運んでくれセレナ
包んでくれホーミー
僕らの一週間月面歩行
get back my blood
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[第2夜 #1]『大山さん』Guest: タナカヒロキ (LEGO BIG MORL)
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