歌詞を書いて「ありがとう」なんて言われるなんて。 言葉なんて誰でも扱えるのに。 特殊な能力や技術じゃないからこそ。 だからこそプライド持ってやってるのかな。 なんて思います。 これは歌詞の説明ではありません。 これは歌詞の解説ではありません。 今までの歌詞はあれ以上でも以下でもありません。 ここにあるのは自分で書いた歌詞の行間と字余り。
『cinderella syndrome』
シンデレラ
(Cinderella) は、童話の一つ。また、その主人公。仏語で「サンドリヨン(仏: Cendrillon)」。和名は「灰かぶり姫」あるいは「灰かぶり」。シンドローム
症候群。いくつかの症候が常に相伴って認められるが、その原因が不明のときに用いられる医学用語。
一般に、関連した一群の事件、事物に対し、…問題、…現象、…的傾向などの意で用いられる。
事実こういった症候群は存在する。
厨二病とされるものに近いのだろうか。
僕らはバンドをやっている以上この症候群から逃れることはできないのかもしれない。
常に魔法にかかったかのような自信をまとい、常に何かに追われているような危機感がある。
でもカボチャの馬車なんてない。
いつだって機材を山ほど積んだハイエースがあるだけ。
リアルな歌詞はいつだって胸を打つ。
しかしファンタジーな世界も、歌詞や創作の上では不可欠なロジックだろう。
アルバムの完成が見えてくる中で、客観的に歌詞を並べた時に思ったことがある。
「なんだか現実味ばかりで夢や希望が少ないなぁ」
なんて他人事のように。
表題曲の「Ray」は光はあるものの肌触りは冷たく、「ワープ」は時間軸を固い日本語で歌う。
つまりファーストアルバムの全貌が少しずつ見えてきていた。
この頃の僕らはゴールを見据えて走り出すなんてことは出来ず、ただ目の前の曲に立ち向かった。
すると気づいたらそこにファーストアルバムの全貌が転がっていたのだ。
洋楽の二分ほどで終わる曲がかっこいいね。
なんて話をしていた。
大きなテーマや複雑な展開は無用で、ガチャガチャと駆け抜ける。
その刹那的なストーリーとシンデレラを重ねたらどうだろうか。
そんな漠然としたイメージを曲作り中に頭の隅に芽生えさせたままにしていた。
なんせ先走って書いたとしてもメロディーは直前まで試行錯誤を繰り返す。
メロディーが固まってから一気に書くに限る。
ファーストアルバムができるくらいの曲数を作ると、そんな僕の中でのルールも出来上がるもんだなと感心した。
今でもたまにライブで演る。
アンコールでやることが多いかな。
あの疾走感がとても機能する。
アンコールという前後のストーリーがない中でのこの曲は生きる。
これを執筆している今現在、ライブが少ない。
シンデレラを思いながら書くとライブがしたくなる。
それもさっきの流れからアンコールをイメージしてしまう。
それはつまりアンコールをもらえるほどいいライブをしたってことだ。
アンコールなんてクソなライブを見たときは求めなくていい。
人のライブでも自分のライブでもそうだ。
予定調和という名のつまらなさがライブハウスには充満する時がある。
もしそんな空気がLEGOのライブで充満していたらあなたは躊躇なくアンコールの拍手をやめてくれ。
まぁそうだとしてもこの曲が二分でそんな空気を蹴散らしてくれると思うが。
僕にはバンドマンの友人が数名いる。
多くはない。
友達が多そうだなんて言われることがあるが、それは間違い。
僕はインドアだからこそ外に出て新たな人と出会うとアウトプットしたくなる。
それをSNSなどで見ている人は友達多いんだなぁと捉えてくれる。
本当に友達が多い人はそんなことしない。
そういう意味では僕には知り合いは多いのかもしれない。
その中で片想いじゃなければいいが、友達と呼べる人の中で BIGMAMAの金井という奴がいる。
こいつもなかなか一筋縄ではいかない。
彼と友達になったのはこの曲がリリースされたずっと後。
しかし彼の曲にも「Cinderella~計算高いシンデレラ~」という曲があった。
本当に僕らは昔からこんなところでも繋がっていたんだなと少し笑った。
レコーディングの日。
この二分で駆け抜ける曲の頭に威勢のいいカウントを声で録ろうとなった。
ワントゥースリーフォー!ってな具合に。
その発想自体今思うと、なかなか若くて青臭くて照れくさいものがある。
しかしそれも一筋縄ではいかない我ら。
これを自分たちでやるのは恥ずかしいという理由は隠して、僕らよりも年も若いので声も若いんじゃないかという無茶苦茶な理論で、当時のマネージャー(みっちー)にお願いした。
彼は学生時代バンドもやってたし、カウントくらいすぐできるだろうと思っていた。
するとどうだろう。
音源を聴いてくれ。
一緒に久々に笑おう。
『cinderella syndrome』
悪い魔法にかかった BGMは小洒落た7th辺りのコード
オリオンのシャンデリア カボチャ型のタクシー 例の硝子のくつ夢のような一時は一瞬で過ぎ去り 気づいたらもうそんな時間かい?
急いで下りる階段の途中であの子はわざと硝子のくつを脱いだ夢はひそかにでもすぐそばに落ちてんのさ
どうか針よゆっくりと歩いて12時のところで時計の針が重なると魔法は解けてしまうんだろう?
急いで下りる階段の途中であの子はわざと硝子のくつを脱いだ12時が僕らの夢を奪いに来た
あとで見つけ出してよ?
『行間と字余り』バックナンバー
[第2夜 #1]『大山さん』Guest: タナカヒロキ (LEGO BIG MORL)
LEGO BIG MORL OFFICIAL SITE
タナカヒロキ/ Twitter
LEGO BIG MORL