オレンジバックパッカーズ。それはいつの間にか笑顔の絶えない登山グループとなり、多くの山を登ってきた。 インスタグラムでも更新を続け、多くのファンを集めているが、今回はそんな那須岳への登山記(というには大袈裟だが・・・)をお伝えしようと思う。

「オレンジバックパッカーズってなに?」・・・ですよね。そういう方もいらっしゃいますよね(笑)
オッケーオッケー、なんとなく知ってる系の人もいると思うし、せっかくなのでご紹介します。

元々はストレイテナー / Nothingʼs Carved In Stone(以下:NCIS)のベースとして活躍するひなっちこと日向秀和、荒井岳史(the band apart)、そしてミトイチ(Zantö / ミトサン編集長)の 3 人がノリで始めた登山だったというが、他にも Flow の TAKE、NCIS の松村拓、グッドモーニングアメリカのたなしんなどアーテ ィスト勢やマネージメント関係者からテクニカル PA、彼らの音楽に魅せられたタレントやモデルなど、様々な業界から集まり活動している登山グループである。

グループというよりは、”チーム”という表現の方が正しいのかもしれない。実は筆者もその一員として山に登っているが、全員で声を掛け合い、笑い合い、山頂に向かって歩き進む彼らを見ていると、高い結束力と常に何かを求め続ける熱いものを感じるからだ。
とまぁ、そんなオレンジバックパッカーズの裏側と先日の那須岳の登山風景をお伝えしよう。

2017 年 11 月 28 日午前 6 時。峠の茶屋駐車場に降り立った 7 人。その 3 時間前に都内で集合し、各々運転やら会話疲れやらあったが、一気に吹き飛んだ。
なぜならば最高の朝陽が迎えてくれたから。そこは既に標高 1,462m。まさに「なんも言えねぇ」状態。思わず”インスタジャンプ”をするいい大人たち・・・。

そんな朝陽を背に登山口へ。薄く雪化粧をした那須岳の緩やかな登りから、未曾有の新雪まで久々の雪の感触を楽しみながら歩く。
そして登山口から 1 時間半、いよいよ朝日岳の山頂。広がった景色に全員が息を飲み、思わず声が漏れる。「すげぇ・・・」

見渡す限りの雲海、そして紅葉の残る山々。何度もそういう景色を経験したメンバーですら感激しているほど。
それぞれが腕を伸ばし、手にはスマホや一眼レフ、GoPro・・・様々なカメラで登った者にしか見ることのできない景色をレンズに収める。 そういえば筆者はひなっちに誘われてオレンジに入った。「みんなで和気あいあいで会話しながらだし、山頂から見える景色ヤバいよ!」なんて言われて 5 回目の登山。初めて上ったのは八ヶ岳の赤岳。先頭グループには置いて行かれ、疲れ果てて会話も出来ないし、ガス(雲)って何も見えないし・・・。
何が楽しいんだよチクショー・・・そう思っていたが、やっと分かった。素晴らしいよ登山、ありがとうひなっち。

しばしここで喜びと興奮をぶつけ合い、次の山を目指すことに。
そして、ギアを装着。その名は”アイゼン”。シューズに取り付けるトゲトゲ。登りで雪が深くなっていたり、凍っている場所が散見された為、ここで登場。

滑らないように歩くと膝に負担がかかり、しんどい思いをするが、そこはやっぱりオレンジ。先頭を行くメンバーが何度も後ろを振り返り、バラけないように待っていてくれる。かと思いきや後ろから雪玉が飛んでくる。森の猩々(しょうじょう)でも現れたのかと思ったら、山ゴリラ(通称:ヤマゴリ)の仕業だ。
全員を最後方からサポートしてくれ、オレンジの中では山神と慕われているが、一部がヤマゴリと呼ぶようになり、その愛称も徐々に浸透してきた。

個性の強い面々の会話は楽しく、やまびこで返ってくるのではないかと思うようなチームの笑い声が、また足を一歩前へ進めてくれる。

分岐の開けた場所まで歩き、ここで休憩。
バーナーを取り出し、フライパンを乗せる。なにやら美味しそうな音と匂い・・・ 毎度ひなっちの山ウィンナー!と思ったら今回はしょうが焼き(笑)
実はオレンジには山のコーヒー屋さんと言われるメンバーもいる。今回は登場しないが、以後改めて紹介したい。
やはり動いてないと体は冷えてくるが、相変わらず笑ってばかりでいる為、どちらかといえば腹痛のほうが心配だ。

そしていよいよ茶臼岳へ向かう。ここ那須の茶臼岳は活火山で、硫黄の匂いが鼻をつく。火山について語り合う者、温泉に入りたいと嘆く者、なんの足跡か分からないものを発見し、キツネだのタヌキだの熊だの、憶測を飛び交わす者。ちなみに先頭を歩くミトイチはしっかりと熊除けの鈴を携帯しており、熊が現れた際にはいち早く死んだふりをするタイプだ。

2 時間程度歩き、山頂に近づくと勾配も急になり脚が重たくなってくるが、先程の朝日岳の景色を思い出し、一歩一歩力強く踏み込むと視界が開ける。山頂だ。 写真を見ていただければもう説明する必要もないだろう。これが登山の醍醐味である。
山頂でそれぞれの時間を過ごし、後ろ髪をひかれる思いで下山。休憩を含んだ往復 7 時間に及ぶ朝日岳~茶臼岳の登山は幕を閉じた。

もちろん山によって特徴は違うし、見える景色も違うだろう。だが、”どこへ登るか”ということよりも、”誰と登るか”。これが何よりも登山を楽しくさせるのではないだろうか。
この登山記とも言えない登山記を読んで、「登山をやってみよう」と思ってくれた方がいるのであれば、山で会えるのをオレンジ一同、楽しみにしている。

そしてこの日、都内へ戻りメンバー数名と合流したのち、新宿のホルモン屋に煙と共に消えてくオレンジバックパッカーズであった。

photo by Ichi Mito
@orangebackpackers